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お役立ちコラム

2023/05/10

太陽光パネルに洗浄は必要?費用感などについて解説!

太陽光発電

雨の日も風の日も外気にさらされる太陽光パネルですが、洗浄は必要ないのでしょうか?

ここでは、どういった場合に太陽光パネルの洗浄が必要になるのか、洗浄する場合にはどのような方法があるのか、また、洗浄にはどれくらい費用がかかるのかを解説します。

目次

太陽光パネルの自浄機能

最初に結論を言ってしまうと、汚れがあまりにひどい場合や汚れが原因で発電効率が低下している場合を除いて、太陽光パネルの洗浄は必要ありません。それは、太陽光パネル自体に汚れを洗い落とす機能が備わっているためです。

太陽光パネルは、半導体や電子回路が保護ガラスで覆われた構造を持ちます。太陽光発電による発電量は、パネルに降り注ぐ太陽光の量に比例するため、極端な例として、保護ガラスの半分が黒く塗りつぶされれば、発電量は半減するでしょう。その意味で、太陽光パネルの表面を綺麗に保つことは大変重要です。

また、一般家庭のガラスを見て分かる通り、ガラスは放置しているだけでも空気中のほこりなどで白く濁っていき、光の透過性が失われていきます。こうした目立たない汚れも太陽光発電の効率を低下させます。

しかし、太陽光パネルメーカーは既にそうした問題へ対策を講じてきました。

その対策とは、第一に保護ガラス表面の防塵(ぼうじん)、防汚コーティングです。ほこりなどの汚れが付着しにくいような工夫が施され、発電効率の低下を抑制しています。保護ガラス自体の性能と併せて、コーティング技術も年々進歩してきました。

第二に、雨で汚れを洗い落とす仕組みです。仮に汚れが付着しても、雨の度に汚れを洗い流せるため、長期に渡って発電効率が低下する状況を回避できます。

こうした汚れ対策が功を奏し、近年では、太陽光パネルの劣化原因として「保護ガラス表面の汚れ」の影響は極めて軽微なものと見なされています。

例えば、電気設備学会誌の論説では、太陽光パネルの劣化や故障の原因として、「電気系統の故障」、「高温」、「積雪の重み」、「落雷」、「強風」などが論じられていますが、表面の汚れは挙がってきません。表面の汚れはそれほど重要視されていないことが分かります。

それでも汚れる原因は?

ここまで、表面の汚れはそこまで気にしなくても大丈夫、という話をしてきましたが、例外的に、人の手による洗浄が必要となる場合があります。それは以下のようなケースです。

  • 花粉や黄砂など、特定の期間に大量に舞う粉塵(ふんじん)
  • 鳥の糞や落ち葉など、周囲環境からの落下物

  • 長期的に蓄積する水あか

春先には、花粉や黄砂が舞い、太陽光パネルも影響を受けます。瀬戸内海周辺や内陸の一部地域ではこの時期にも雨が少なく、降り積もった粉塵(ふんじん)の影響で、発電効率が低い状況が続くことになるでしょう。そうした場合には、人の手による洗浄が必要です。

大規模な太陽光パネル発電設備はあまり人の立ち入らない山間部に設置されることが多いですが、そうした環境では鳥や虫などの生物が多く生息し、背の高い木からの落葉もあります。生物の排泄物や死骸が積もれば、パネルを覆い、発電効率の低下は避けられません。時間が経つと汚れが吸着して雨によって流れ落ちることも難しくなります。

また、上記のような特殊な影響を受けないとしても、雨による自浄作用は万全ではなく、年単位で運用していれば目に見えるほどに水あかが蓄積してしまいます。

この他、火山灰や積雪などによってパネルが覆われると、発電効率は極端に低下します。しかし、これら特定の気候や周辺環境に起因する発電効率の低下に関しては、設置段階で対策が講じられることが一般的です。具体的には、これら発電に不利な地域にはそもそも設置しないか、積もったときにそれを振り落とす仕組みを組み込むような対策です。

太陽光パネル洗浄は業者に任せることが基本

これまで述べたような原因により、保護パネルの表面が汚れ、発電に大きな影響が出るならば、太陽光パネルの洗浄をご検討ください。特に大規模な太陽光発電設備を導入した場合には、数%の発電効率低下が年間でみると何百万円もの損失に繋がるため、パネル洗浄の重要性が高まります。

ただし、太陽光パネルをご自身で洗浄することは推奨されません。太陽光パネルが高所に設置されている場合、洗浄は滑落の危険が伴う危険な作業になりますし、洗浄の力加減が分からないと、パネル故障の原因にもなるからです。

よって、太陽光パネルを洗浄する場合には専門の業者に依頼することが基本になります。

業者に任せたときの費用の相場

太陽光パネル洗浄サービスの料金は、「基本料金(5万円程度)+ パネル1枚につき500円程度」という形態のものが多いようです。一般的な住宅に設置されるパネルを20枚程度とすると、全体のサービス料金は6万円程度となります。

業者に依頼する際には、その費用対効果についてご一考ください。

仮に、太陽光パネルの洗浄を依頼することによって、向こう1年間の発電効率が10%向上するならば、その分だけ売電利益が生まれます。一般家庭に設置される太陽光発電システムの年間発電量を 4000kWhとすれば、その 10%は 400kWhであり、20円/1kWh 程度で売却できれば、生じる利益は8千円/年です。

ここで述べた計算は、導入した発電システムの容量やその時の売電価格、洗浄によってどれだけ発電効率が上がるかによって変わってくるため、簡単に結論付けることができません。是非一度ご自身での試算や業者に相談するなどして、洗浄に必要な費用と比較・検討してみてください。

個人で洗浄する場合の注意点

脚立などを使わずに手の届く範囲であれば個人でも洗浄ができます。鳥のふんによる汚れなど、部分的な汚れはそこだけ綺麗にすれば十分なので、業者に依頼する必要もないでしょう。高所以外ならば、太陽光パネルの洗浄作業は難しくないですし、危険性もほとんどありません。

太陽光パネルも電気設備なので過去には感電の事例もありますが、それらは浸水や配電ケーブルの露出が原因です。パネル表面に触れるだけならば、感電する心配はほぼないと言えます。ただし、電気設備に詳しくない場合、念のために触れるのはパネル表面のみに留めましょう。

その他、自身で洗浄をしようとしてパネルを破損させてしまった場合、設置業者による無償交換や安価なメンテナンスの対象外となってしまう可能性もあるので、ご注意ください。以下では、個人でパネルを洗浄する場合に注意すべき点をまとめます。

洗剤を薄めて使う

保護ガラス表面には様々なコーティングが施されていますが、化学的に腐食すると表面コーティングがはがれる可能性があります。

洗浄の際には、ガラス洗浄用の中性または弱アルカリ性洗剤を薄めて使うようにしましょう。

表面を傷つけないブラシを使う

保護ガラス表面に傷がつくと、そこから破損が広がる可能性もあります。洗浄の際には毛先がプラスチックのブラシを使うのではなく、布製ふきんを使うようにしましょう。

また、布製の雑巾を使う場合にも、パネルと雑巾の間に異物が挟まっている状態で強くこすると、表面に傷がついてしまう可能性があります。あまり強くこすらないように注意を払ってください。

高圧洗浄機を使わない

水を高圧で吹き付ける高圧洗浄機では保護ガラスを傷つけるだけでなく、電気系統に浸水が起き、破損の原因にもなります。高圧洗浄機の使用は控えましょう。

水道水をそのまま使わない

水道水にはカルキ(次亜塩素酸カルシウム)と呼ばれる消毒剤が含まれています。このカルキが含まれる水道水をそのまま使うと、乾いた際にカルキ汚れが残ってしまい、発電効率の低下につながります。

カルキは水道水を10分ほど煮沸すると化学変化して無色の別の物質になり、乾いた際にも白い跡が残りません。太陽光パネルの洗浄を行う際には、使用する水道水を事前に10分煮沸して、冷やしたものを用意するのがベストです。

ただ、一般の洗車などで使われているのは当然水道水であり、普通の人は洗車の質について、それで十分満足しています。太陽光パネルの洗浄にはカルキ抜きの水を使うことがベストですが、水道水をそのまま使ったところで、発電効率が極端に落ちるわけではありません。

時間に余裕があり、とにかく綺麗に落としたいという方以外は、水道水の使用をそこまで神経質にならなくても大丈夫です。

まとめ

風力、地熱などの他の再生可能エネルギーと比較すると、太陽光発電設備は劣化が少なく、定期的なメンテナンスのコストが安いという特徴があります。

それでも完全にメンテナンス不要というわけではありません。今回紹介したようにパネル表面にはさまざまな汚れが付着しますし、パワーコンディショナーなどの電気系統にも故障が生じます。

メーカーと設置事業者はこれらの問題に長らく向き合ってきました。

私たち設置事業者は定期的なメンテナンスを行い、管理システムを活用することで、設置された太陽光パネルの効率的な運用を支援いたします。太陽光発電システムの設置や運用、管理について、分からないことがあれば是非当社にご相談ください。

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