再生可能エネルギーの先進国 ドイツの取り組みとは

ドイツが再生可能エネルギーを推進する背景

「エネルギーベンデ（Energiewende）」とは？

ドイツの再生可能エネルギー政策の根幹となっているのが「エネルギーベンデ（Energiewende）」という概念です。これは「エネルギー転換」を意味し、化石燃料や原子力に依存しない持続可能なエネルギー社会への移行を目指す政策です。

脱原発と再生可能エネルギーの関係

ドイツは2011年の福島第一原発事故を契機に、2022年までに国内の原子力発電所をすべて閉鎖する方針を決定しました。この決断により、再生可能エネルギーの導入を加速させる必要がありました。

温室効果ガス削減目標

ドイツは2050年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で80～95％削減する目標を掲げています。再生可能エネルギーの導入は、この目標達成において重要な役割を担っています。

ドイツの再生可能エネルギー政策の特徴

再生可能エネルギー法（EEG）

ドイツの再生可能エネルギー政策を支えるのが「再生可能エネルギー法（EEG）」です。この法律により、再生可能エネルギーによる電力を優先的に送電網へ接続する仕組みが整えられました。

固定価格買取制度（FIT制度）

EEGの中核をなすのが固定価格買取制度（FIT制度）です。これは、再生可能エネルギーで発電された電力を一定の価格で長期間買い取る仕組みであり、事業者が安定して投資できる環境を提供しました。

市民の参加を促す制度

ドイツでは、多くの市民が再生可能エネルギーの発電事業に参加しています。特に、地域の共同組合による風力発電や太陽光発電のプロジェクトが数多く存在し、市民がエネルギー政策に積極的に関与しています。

ドイツにおける再生可能エネルギーの成功事例

風力発電の普及

ドイツは欧州でもトップクラスの風力発電国です。特に、北部の沿岸地域では強い風を活用した大規模な風力発電プロジェクトが進められています。洋上風力発電の開発も進んでおり、今後さらなる成長が見込まれています。

太陽光発電の普及

ドイツは日照時間が長くないにもかかわらず、太陽光発電の導入が進んでいます。FIT制度の導入によって、個人住宅の屋根に太陽光パネルを設置する動きが広がりました。

地域主導のエネルギー共同体

「エネルギー共同体（Energiegenossenschaften）」と呼ばれる市民主体のエネルギー事業が各地で展開されています。地域住民が出資して発電事業を行い、得られた収益を地域活性化に活用する仕組みが確立されています。

再生可能エネルギー政策の課題と今後の展望

電力価格の上昇

FIT制度によって再生可能エネルギーが急速に普及しましたが、電力価格の上昇という課題も生まれました。これにより、政策の見直しが求められています。

天候による発電量の変動

風力発電や太陽光発電は天候に左右されるため、安定した電力供給が課題となっています。これを解決するために、蓄電技術の開発や電力網の強化が進められています。

石炭火力の段階的廃止

ドイツは依然として石炭火力発電に頼っており、再生可能エネルギーの比率をさらに高めることが求められています。政府は2038年までに石炭火力を全廃する方針を掲げていますが、実現には課題が残されています。

まとめ：日本が学ぶべきポイント