お役立ちコラム
2023/04/14
太陽光発電の容量とは?最適な発電効率の決め方について解説
太陽光発電
これから個人や法人で太陽光発電システムを導入しようと検討する際に、「太陽光発電の容量はどれくらいが良いのか」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
太陽光発電の容量といっても、太陽光パネルもありますしパワーコンディショナーもありますし、難しくありませんか?
この記事では、太陽光発電の最適な容量、太陽光パネルの変換効率や素材、電気代を節約する方法などについて解説します。
目次
太陽光発電容量とは?
太陽光発電容量とは、太陽光パネルで発電できる電気の値のことです。発電容量の数値は「kW(キロワット)」で表され、kWが大きいほどたくさんの電力をつくれるということになります。
発電容量は、「システム容量」や「出力容量」と呼ばれることもあります。太陽光発電システム業者がこれらの言葉を使う場合は、太陽光発電容量のことであると覚えておくとよいでしょう。
太陽光発電の容量と混同しがちなのが、発電量です。発電量は、1時間あたりどれだけ電気をつくり出したかの「電力量」のこと。「kWh(キロワットアワー)」で表されます。
ちなみに、発電量の計算式は「 発電容量(kW)×時間(h)=発電量(kWh)」です。例えば、5kWの太陽光パネルを1時間発電すると、5kW×1時間(h)=5kWhという計算になります。太陽光発電と太陽光発電容量の2つの違いをあらためてまとめると、
・発電容量(kW)=その太陽光発電システムがどれだけ発電可能かを表した値 ・発電量(kWh)=電気を生み出した値 |
ということになります。
太陽光パネルとパワーコンディショナーは、出力の値が低いほうが発電容量
太陽光発電システムを稼働する際の発電容量の考え方についてお伝えしましょう。
太陽光発電システムでは、太陽光パネル(kW)とパワーコンディショナー(kW)が必要です。2つの発電容量それぞれの出力合計値の低いほうが、全体の発電容量の値となります。
例えば、太陽光パネルが5kWでパワーコンディショナーが4kWの場合、低いほうのパワーコンディショナーの4kWが全体の発電容量です。
なぜ太陽光パネルよりパワーコンディショナーの容量が低いかというと、それは太陽光パネルの出力規格による影響です。
太陽光パネルの出力規格では、「日射強度が1kW/m2」「太陽電池のパネルの温度が25℃」などの条件で電力を出力するものと考えられています。
日射強度の1kW/m2というのは、太陽光パネルの1平方メートルの面積に当たる光の強さを表わす単位のこと。しかし、日本の気象環境では、1年間のうちに出力規格に合致する条件は数時間あるかないかというまれな状況です。
そのため、太陽光パネルの日射量の少ない時間帯に発電力が下がることを見込んで、パワーコンディショナーの値を低く設定しているのです。
太陽光発電の最適な容量 個人・法人
このパートでは、太陽光発電パネルに最適な容量をご紹介します。
太陽光発電パネルの容量は個人と法人で異なり、家庭で使う個人用は10kW未満、法人用は10kW以上が一般的な容量です。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
【個人用】
(設置場所) (設置容量・価格) (特徴) 反対に、気候の影響で日照時間が少なくて発電できないときには、通常どおり電力会社から電気を買わなけれなならない。 |
【法人用】
(設置場所) (設置容量・価格) (特徴) 「二酸化炭素の排出量の削減に取り組む企業」として、社会的な認知度を上げることにもつながる。 |
発電容量を決める基準
太陽光発電システムの容量を決める基準について、個人と法人に分けてご説明します。
発電容量を決める基準 個人
家庭で使う個人用の発電容量を決める基準は2つ。「設置面積」と「導入予算」です。
①設置面積
まずは、設置面積がどれだけになるのか確認しましょう。自宅の屋根の大きさや形状によって発電容量が変わってくるためです。
設置容量の主流は3〜5kWですが、確認するのが難しい場合は専門業者に依頼して調査してもらう必要があります。
②導入予算
太陽光発電システムの発電容量が大きければ、それだけ電力も多くつくることができます。しかし、容量が多くなるにつれて費用もかかるため、予算を確保できるかが問題です。
設置容量の主流である3〜5kWでも設置価格が80万円〜140万円ほどかかり、それ以上となるとより多くの予算が必要になります。
例えば、6kW以上の相場は約170万円、7kWで約200万円ほどかかるといわれています。
発電容量を決める基準 法人
法人の発電容量を決める基準も個人と同様、「用地面積」と「導入予算」です。
①用地面積
太陽光発電システムを導入する用地面積から、設置可能な太陽光パネルの枚数と容量を決めていきます。
ちなみに、用地面積の計算式は下記のとおりです。
導入したい太陽光パネルの容量×1kWあたりの必要面積+用地の外周面積 |
②予算
太陽光発電システムの導入予算から、予算内に収まる容量を決めていきます。システム容量を大きくすればするほど売電収入を増やせますが、その分初期費用がかさむため注意が必要です。
また、単純にシステムの設備や工事費だけに着目して予算を投入してはいけません。自社の太陽光発電システムを安定して稼働させるためには、「メンテナンス費用」や「故障時の保険費用」も予算に組み込まなければいけないからです。
太陽光発電がうまくいかなかったときの廃棄費用も想定しておきましょう。
太陽光発電「年間発電容量」の計算方法
このパートでは、太陽光発電の「年間発電容量」の計算方法についてご紹介します。
計算式は下記のとおりです。
年間予想発電量(kWh/年)=H×K×P×365÷1 |
- Hは、設置面の1日あたりの年平均日射量(kWh/㎡/日)
- Kは、損失係数
- Pは、システム容量(kW)
- 365は、年間の日数
- 1は、標準状態における日射強度 (kW/㎡)
(参照元:農林水産省 地域資源利用型産業創出緊急対策事業 6ページ目)
https://www.maff.go.jp/j/biomass/b_21hosei/pdf/taiyo_panf2.pdf
Kの損失係数とは、「年平均の温度上昇などによる出力の増減」「パワーコンディショナーの損失」「配線やパネルの汚れ」など、予想される損失の値のこと。この値は、約73%を想定損失係数として計算するのが一般的です。
この計算式をもとに、方角が真南と日射量に恵まれた地域の「年間予想発電量」を計算してみましょう。
「年平均日射量は4.32kWh/㎡/日」「損失係数は0.73」「システム容量は3kW」です。
計算の結果、
4.32×0.73×3.0×365÷1=約3.453(kWh/年)
がこの地域の年間予想発電量となります。ただし、Hの年平均日射量は地域や季節によって異なることがあるため、注意が必要です。また、太陽光発電の設置環境や機器の違いにより、損失係数に差異が生まれることがあります。
売電収入を上げる太陽光発電の過積載について
近年の太陽光発電システムは、個人・法人にかかわらず「過積載」という方式が一般的となっています。
過積載とは、太陽光パネルの容量をパワーコンディショナーの容量よりも大きくして、売電収入を上げるための方法です。過積載にはデメリットとメリットがあります。
過積載のデメリット
過積載のデメリットを取り上げます。
①メーカーによっては保証を受けられない可能性がある
パワーコンディショナーを扱うほとんどのメーカーでは、容量の1.2〜1.3倍ほどの過積載にしか保証がきかず、それ以上になると保証の対象外です。
太陽光発電システムを導入する際には、信頼できる業者に依頼して過積載に関するアドバイスを受けましょう。
②初期費用が増える
過積載を行なうとパネルが増え、初期費用が増えることになります。そのため、太陽光パネルの追加費用とパワーコンディショナーのピークカットにより生じる電力量のバランスの釣り合いが取れるかを考えることが必要です。
ピークカットとは、パワーコンディショナーの出力容量に合わせて、発電するピークの時間帯の発電量を減らすことをいいます。
③法人は罰則の対象となることがある
法人用ですでに太陽光発電システムの認定がされているのにもかかわらず、後付けで太陽光パネルの過積載を行なった場合、罰則の対象となります。電力会社が再生可能エネルギーの電力を買い取るのに必要な財源である「再エネ発電賦課金」の値上がりにつながってしまうからです。
この再エネ発電賦課金は電気を利用する国民の月々の電気代から引かれているものであるため、倫理的にも認められません。
過積載の具体的な罰則は、「売電価格を下げられる」「二次保証金を支払う」などです。このようなペナルティーを受けないためにも、後付けをしないよう注意しましょう。
過積載のメリット
過積載のメリットをご紹介します。
①発電量の増加
過積載をすると、発電量が増加します。太陽光パネルを増やすことで電気量が増えるからです。
売電収入も増えていきます。
②日が当たらないときに電源を確保できる
過積載をすることで、電源を確保できます。
太陽光パネルを増やすと発電容量も増えるため、電力が不安定になりがちな早朝や夕方、日が当たらない曇りの日にも比較的電力が安定するでしょう。
③法人は低圧電力扱いで発電量を増やせる可能性も
50kW以上の太陽光発電設備をつくる場合、高圧電力扱いとなるため、電力会社と「高圧受電契約」をする必要があります。高圧受電契約とは、電力をたくさん使う法人向けの契約です。
高圧電力を扱う場合、電気を受けるための設備「キュービクル」の設置をしなければなりません。その費用は200〜600万円ほどで、かなりの出費です。
しかし、過積載をする際にパワーコンディショナーの容量を低く設定して、太陽光パネルの容量をそれ以上にすれば、低圧電力扱いで運用することができます。
なぜなら、太陽光パネルの容量とパワーコンディショナーの容量は数値が低いほうが採用されるからです。例えば、「パワーコンディショナー50kW未満、太陽光パネル80kW」というやり方です。
この方法ならキュービクルの設置などでかさむ初期費用を抑えられ、低圧電力のまま売電できるようになります。設備費用を少なくし、発電量を上げることができるというわけです。
過積載率の計算方法
過積載率の計算方法をご紹介します。
太陽光パネル容量とパワーコンディショナー容量の比率をパーセントで表した計算式は、下記のとおり。
過積載率=太陽光パネル容量(kW)÷パワーコンディショナー容量(kW) |
例えば、太陽光パネルの容量が80kWで49kWのパワーコンディショナーの場合、80kW÷49kW=1.632となり、160%の過積載率になる計算です。
発電容量に影響を与える、太陽光発電機の変換効率・素材
太陽光発電の容量は、発電機の変換効率により影響してきます。このパートでは、発電機の変換効率や素材について解説します。
発電機の変換効率とは?
「変換効率」とは、太陽光パネルで電気をつくり出した割合のことです。発電したエネルギーを無駄なく電力に変換できれば、発電効率は100%。7割しか変換できなければ70%になります。
太陽光パネルの変換効率を考える際に必要なのは、「セル変換効率」と「モジュール変換効率」の値です。
セル変換効率は、太陽光パネルのセル1枚単位の変換効率のこと。モジュール変換効率は、太陽光パネルのセルの集合体であるモジュール1枚単位の変換効率のことをいいます。
太陽光パネルはモジュールの性能が良いものを選ぶ必要があります。性能が良いものほど、モジュール1枚単位で効率よく電力をつくり出す性質をもつからです。
太陽光パネルのメーカーを選ぶ際には、モジュール変換効率の値に注目しましょう。
変換効率に影響を与える太陽光パネルの素材について
太陽光パネルの素材は変換効率にも影響を与えるため、素材の特徴をよく知っておくことが重要です。
素材には大きく分けて、シリコン系と化合物系があります。
(シリコン系)
種類 | 特徴 | 変換効率 | 価格 |
単結晶シリコン | 国内の普及率が最も高い型。パネルの最小単位であるセルが一つの結晶となっている。見た目がきれい。 | 20%前後と高い。 | シリコンの使用量が多いため高い。 |
多結晶シリコン | 単結晶シリコンの不良品などを集めて製造した型。見た目はやや劣る。 | 約15%と低め。 | 再利用を目的としてつくられたため安い。 |
微結晶シリコン | 多結晶シリコンよりさらに低コスト化を目指したもの。 | 10%以下とシリコンのなかでも低い。 | シリコンの使用量が少ないためコストが抑えられ安い。 |
(化合物系)
種類 | 特徴 | 変換効率 | 価格 |
CIS太陽電池 | シリコン系の温度上昇による変換効率の不具合を補うために開発。太陽光を吸収しやすい。 | 9%から14%とシリコン系より変換効率が悪い。 | 製造資源が少なくて済むことにより、コストを抑えられるため安い。 |
パネルの方位・角度・日射量が発電効率に影響する
発電効率は、パネルの設置方位や角度、日射量で大きく変化します。
設置方位・角度
太陽光パネルを設置する方位や角度はとても重要です。それぞれの方位・角度で太陽パネルが当たる日射量に違いがあり、発電量も変わるからです。
理想の方位は、南向きで傾斜角度が30度の位置。その他の方位と角度による発電量は、下記のとおりです。
方位 | 角度 | 発電量(%) |
南 | 0度 | 100% |
南東 | 45度 | 約96% |
南西 | 45度 | 約96% |
東 | 90度 | 約85% |
西 | 90度 | 約85% |
北 | 0度 | 約62% |
日照時間・日射量
日照時間や日射量も発電効率に影響します。日中の日照時間が長いほど日射量が多く、発電量が増えるからです。反対に、曇りや雨の日は日照時間が短いため、発電量が下がります。
太陽光パネルを効率的に発電できる温度は、25℃と国際基準で定められています。
25℃をピークに、1℃気温が上がるごとに発電効率は低下していきますので、夏場は特に注意が必要です。暑さがピークになる時間帯には太陽光パネルの表面温度が約70〜80℃になるため、標準より約20%変換効率が下がります。
日照時間や日射量は太陽光パネルの発電効率に影響を与えると覚えておきましょう、
詳しいことは専門業者に相談してください。
新規で太陽光発電を導入するなら、FIT制度を利用するより自家消費型の太陽光発電のほうがお得?
新規で太陽光発電システムを導入するなら、FIT制度を利用するより自家消費型の太陽光発電システムで運用するほうがお得といえます。なぜなら、売電価格の低下が影響しているからです。詳しくご説明します。
FIT制度とは?
FIT制度とは、日本の再生可能エネルギーを普及させることを目的として2012年に経済産業省により開始された、電力の固定価格買取制度のことです。
電力会社はこの制度により、再生可能エネルギーでつくられた電気を一定期間、一定の価格で買い取ることを国から保証されています。
一方、電気を利用している国民は、このFIT制度を維持するため、毎月の電気代にプラスして「再エネ賦課金」を支払うのが義務です。ただ、電気の買い取り価格は、太陽光発電が普及するのにともない年々下落しています。
例えば、2012年は住宅用の10kW未満の売電価格が42円、法人用の10kW以上で40円でした。しかし、2023年度になると住宅用の10kW未満の売電単価が16円、小規模法人用の10kW〜50kWは10円、大規模法人用の50kW以上にいたっては9.5円まで単価が下落しています。
そのため、自家消費型で運用するのがお得です。個人も法人も「太陽光発電でつくり出した電力を自分の電気として使う」という方法をとれば、電力会社に支払う電気代を可能な限り節約できます。
単価が安いとはいえ、余った分の電力は買い取ってもらえるため無駄にならないこともポイントです。
東京都では2025年4月から、個人で新築戸建て住宅を建てる場合には太陽光パネルを設置する義務が生じることになりました。川崎でも6割の新築戸建て住宅に設置義務が生じる予定です。
また、企業では2020年のFIT制度の見直しにより、10kW〜50kWの発電設備での発電量の30%を自家発電で消費するよう定められています。
自家消費型で電力をつくることが自然な流れになってきたといえるでしょう。
まとめ
太陽光発電の最適な容量、太陽光パネルの変換効率や素材、電気代を節約する方法などについて取り上げました。
- 太陽光発電の容量は、個人・法人で設置容量や価格に違いがある。
- 発電効率は、太陽光パネルの素材や設置方位・角度、日照時間・日射量などにより変わってくる。
- 新規で太陽光発電を導入するならば、自家消費型の太陽光発電システムで運用すると電気代の節約につながる
ということがわかりました。
しかし、素人目では判断できない要素が多いため、専門家に適切なアドバイスを受けたいものです。これから太陽光発電システムの導入を検討している個人や法人の方には、株式会社サンエーがおすすめです。
サンエーは1994年の創業以来、太陽光発電システムの導入に向けた設計・施工・導入後のアフターサービスまでのすべてをワンストップでサポートしている会社です。
個人のお客さまには、「スカエネプラン」
法人のお客さまには、「企業向け自家消費型太陽光発電事業」
と、それぞれのプランがあります。
「スカエネプラン」の特徴は、
①設置費用無料
②定額制で毎月の支払いが安定
③停電時にも使える
というもの。
「企業向け自家消費型太陽光発電事業」の特徴は、
①企業価値の向上
②電気代の削減
③緊急時の電源確保(BCP対策)
というものです。まずは資料請求やお見積もりのご依頼など、お気軽にお問い合わせください。
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