お役立ちコラム
2023/02/19
太陽光発電の劣化原因と予防策 株式会社サンエーが提供する解決策
太陽光発電
近年続く深刻なエネルギー不足や環境問題の解消などの理由から一般家庭用としてはもちろん、産業用としても「太陽光発電設備」が注目されています。
電気代高騰の影響を受けないだけでなく、売電収入が得られるなどさまざまなメリットがある太陽光発電設備ですが、導入する際に気になるのが設備の寿命でしょう。決して安くない設置費用をかけるからには、なるべく長期間使い続けたいと誰もが思うはずです。
こちらの記事では、太陽光発電設備の太陽光パネルやパワーコンディショナーの寿命について解説します。経年劣化するおもな原因をはじめ、太陽光発電設備の寿命を伸ばすポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
太陽光発電設備の寿命
長期間にわたり屋外に設置され、雨風にさらされる太陽光発電設備は劣化を想定したうえで設計されているものの、当然ながら永久的に使用できる設備ではありません。
ここからは、太陽光発電設備の寿命に関する2つの考え方についてご紹介しましょう。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、機械設備などの資産の減価償却期間を法的に定めた年数を指します。
この法定耐用年数は、資産にかかる税金を平等にするために財務省がそれぞれの資産の種類ごとに年数を定めており、法人税の計算や会計上の処理をする際に使用されます。
この法定耐用年数を考慮する必要があるのは、産業用として太陽光発電設備を運用しているケースです。
- 発電した電気で利益を得ている事業者
- 10kW以上の売電がある一般家庭
- 副業として太陽光発電の収入を得ている事業者
- 屋根材の代わりに太陽光発電を設置している一般家庭
ちなみに、太陽光発電設備における法定耐用年数は「17年」とされています。しかし、自動車設備として太陽光発電設備を導入した場合は「自動車・同付属製造設備」として分類されるため、法定耐用年数は9年と短くなってしまうので注意が必要です。
メーカーが発表する期待寿命
太陽光パネルの製造メーカーごとに、太陽光発電設備が使用できなくなるまでの寿命を公表しています。これを「期待寿命」といい、太陽光パネルは「20〜30年」の期待寿命が設定されています。
ただし、太陽光発電設備が本格的に普及しはじめたのは2009年からということもあり、公的なデータや統計データが少ないため、正確な期待寿命を算出しにくいのが現状です。
最近では、40年以上継続して使い続けられる太陽光発電設備の開発を目指す企業も増えています。設備の性能アップやメンテナンス技術が向上されることで、さらに期待寿命を伸ばせるでしょう。
パワーコンディショナーは経年劣化が避けられない
太陽光パネルは30年以上持続可能なものが多くある一方で、パワーコンディショナーの期待寿命は10〜15年が目安といわれています。
パワーコンディショナーとは、太陽光パネルで発電した直流電気を家庭やビルなどで使用できる交流電流に変換する機器です。パワーコンディショナーで使用している部品の多くは常時稼働すること、そして、パワーコンディショナー全体が振動したり、熱を持ったりする機械であることから、太陽光パネルほど長期間使用できないと考えましょう。
そのため、太陽光パネル以上にこまめな点検やメンテナンスが必要な設備といえます。
【結論】法定耐用年数よりも長く使えるケースが多い
法定耐用年数は、それぞれの製品の寿命を表す年数ではないと理解しましょう。法定耐用年数が17年だからといって、それ以上の期間使用できないのではありません。
法定耐用年数は、あくまでも税務処理をするために設定された期間であり、実際の寿命とは異なるものととらえてください。
太陽光パネルが経年劣化するおもな原因
太陽光パネルは屋外に設置されているケースがほとんどですので、雨風にさらされた環境下で少しずつ劣化を繰り返していきます。
これから太陽光発電設備の導入を検討している方はもちろん、すでに太陽光発電設備を運用している方も、どのような理由で太陽光パネルが経年劣化するかを理解しておきましょう。
ここからは、太陽光パネルの寿命が縮むおもな3つの原因についてご紹介します。
原因その1|ホットスポット
太陽光パネルが劣化する原因として「ホットスポット」があります。
ホットスポットとは、次のようなさまざまな原因によって太陽光パネルの表面に熱が生じる現象です。
- 電気回路や配線の不備
- パネル表面に付着した汚れ
- パネルのひび割れ
- パネル周辺の建物や木などの障害物
発電された電気が上記の理由によって流れにくい状態となることで、抵抗が大きくなり発電量が大幅に減少したり、熱が発生した部分から発火したりする危険性があります。
ホットスポットは、太陽光パネルにまつわるトラブルとして多く報告されている事例のため、長期間稼働するうえで注意すべきポイントといえるでしょう。ホットスポットをつくらないためには、日頃からの点検やメンテナンスを実施すること、さらには発電量をチェックして正常に稼働しているかを確認することが大切です。
原因その2|層間剥離
太陽光パネルは、ガラスや合成樹脂シートなど複数の素材を重ねて形成されています。
しかし、経年劣化することによって表面のガラスと合成樹脂シートがはがれてしまい、はがれた箇所に水蒸気のような水の粒子が入り込んでパネルの表面が所々白くなってしまうのです。
この現象を「層間剥離」と呼びます。
剥離した部分は発電できなくなるため、必然的に発電量が減少します。さらに、剥離して白い部分が拡大することによって、パネル全体の発電効率も下げてしまうリスクもあります。
層間剥離は、おもに10年以上継続して使用した太陽光パネルで見られる現象ですが、日々のメンテナンスや点検をこまめに行なうことで未然に防げます。万が一、層間剥離を発見した場合は経年劣化を助長すると考え、早急にパネル交換をしてください。
原因その3|塩害や積雪などの環境要因
太陽光発電設備を設置する環境によっては、経年劣化を助長してしまうリスクがあります。
例えば、日当たりの良い海岸沿いに太陽光発電設備を設置すると効率よく発電できますが、海水に含まれる塩による塩害被害を受けやすくなります。特に、架台や固定器具、パワーコンディショナーなどの設備は塩害によって劣化しやすく、耐久性の低下が懸念されます。
さらに、太陽光パネルに雪が積もってしまうと発電できなくなってしまうだけでなく、雪の重みによってパネルが破損してしまう恐れがあるので注意が必要です。
積雪するエリアに太陽光発電設備を設置する際は、雪の重みに耐えられるパネルを使用すること、そして日射量が少ないエリアに対応したパネルを選んでください。
太陽光パネルの経年劣化率は素材によって大きく変動する
太陽光パネルの劣化を防ぐためには、定期的な点検やメンテナンスによって劣化のスピードを遅くしたり、劣化する原因を未然に取り除けたりしますが、パネルそのものの経年劣化はなくなりません。
資源エネルギー庁審議会で採用された太陽光発電システムの経年劣化率は年間0.27%です。さらに、NREL(米国 国立再生可能エネルギー研究所)が発表したデータによると、毎年0.5%程度発電量が低下するともいわれています。
少しでも経年劣化のスピードを遅くするためには、パネルの素材にも注目してみましょう。実は、パネルの素材によって経年劣化率は大きく変動します。経年劣化しづらく、強度のあるパネルを選ぶことで長期間安全に使用し続けられるでしょう。
ここからは、太陽光パネルで使用される素材別の経年劣化率を産業技術総合研究所の発表データに基づいてご紹介します。
多結晶シリコン
多結晶シリコンは、太陽光パネルの中でも比較的低コストで導入できる素材として人気があります。経年劣化率は5年で2.3〜2.8%といわれています。
単結晶シリコン
単結晶シリコンは、他の素材と比べて発電効率が高いというメリットがありますが、多結晶シリコンよりも導入コストが高く、経年劣化率も5年で3.2〜3.9%と高いため導入する際は注意が必要です。
アモルファス
アモルファスは、非常に低コストで太陽光パネルを導入できるのが特徴です。しかし、経年劣化率は5年で5.7%と非常に高いため、他のパネルと比べて寿命が短く、発電効率が劣ってしまいます。
アモルファスは、初期費用を抑えて短期間で利用したい事業者の方や一般家庭の方におすすめです。
ヘテロ接合
ヘテロ接合とは異なった性質の物質をつなぎあわせることで、経年劣化率が5年で2%と非常に低いのが特徴です。さらに発電効率は単結晶シリコンよりも優れているため、劣化しにくく発電効率の高いパネルといえるでしょう。
しかし、導入コストが非常に高いため、初期費用を抑えたい方にはおすすめできません。コスト重視の方は、単結晶シリコンやアモルファスを検討しましょう。
長期運用を検討している方や発電効率を上げて発電量を確保したい方にはぴったりの素材といえます。
CIS
CISとは、銅(Cu)とインジウム(In)、セレン(Se)の3つの元素を主原料としてつくられたパネルです。次世代パネルとして開発され、徐々に知名度を高めています。
このCISパネルは、設置した1~2年目は太陽光を浴びることで出力係数が上がるという特性を持っているため、初めの2年は他の素材と比べて高い発電効率がえられるのが特徴です。
さらに、注目したい経年劣化率も5年で1.5%と非常に低いことから、他の素材と比べて一番劣化しにくいといえます。
太陽光発電設備の寿命を伸ばすポイント
ここからは、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備を長く使うために知っておきたいポイントをご紹介します。
POINT1|定期的なメンテナンスを実施する
長期間利用するうえで、定期的なメンテナンスは欠かせません。電気系統を触らない日常点検であれば、無資格者でも問題なく対応できるものもあります。
しかし、有資格者や専門業者に点検を依頼することで、普段目につかない部分の故障や劣化も発見しやすくなります。
また、太陽光パネルの汚れを定期的にクリーニングすることも大切なメンテナンスです。自己流のやり方で清掃をしてしまうことで故障や不具合の原因となってしまうため、必ず専門業者に依頼しましょう。
50kW以上の発電施設においてメンテナンスが義務化されていますが、具体的な頻度や点検項目は設備によって異なるため、点検頻度を含めて専門業者に相談してください。
POINT2|こまめにモニターチェックを実施する
発電量をこまめにチェックすることで、発電効率が落ちた際にすぐに気付きやすくなります。発電量の計測装置とパワーコンディショナーを連携させることで、パネルだけでなくパワーコンディショナーの異常も察知できるはずです。電力の変換量もこまめにチェックする習慣をつけてください。
POINT3|メーカーや施工業者の保証を活用する
太陽光発電設備には、通常の使用下で故障した場合に無償で修理や交換をしてくれるメーカー保証がつくケースが一般的です。場合によっては追加料金を支払うことで保証期間の延長ができたり、機器の保証と合わせて「自然災害補償」を利用できたりします。
最近では、工事保証制度を設けている施工業者も増えており、工事が原因で何かしらの問題が生じた場合も補償してくれます。そのため、太陽光発電設備を設置する際は、メーカーや施工業者の保証サービスも確認しておきましょう。
まとめ
太陽光発電設備の寿命について詳しくご紹介しました。太陽光発電設備は、長期間使用する設備として設計されているものの、経年劣化はどうしても避けられません。
太陽光パネルの素材によって経年劣化率が大きく異なりますので、導入コストと併せて設置するパネルの種類を検討してみましょう。
太陽光発電の設置やパネル交換を検討している方は、サンエーまでご相談ください。
サンエーは、産業用太陽光発電はもちろんのこと、家庭用太陽光発電の設置実績も誇ります。導入の設計から施工はもちろん、導入後のアフターフォローまでワンストップでトータルサポートいたしますので、安心してお任せください。
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