お役立ちコラム
2024/08/27
【2024年最新版】太陽光発電の設置費用と節約ポイント | 株式会社サンエー
太陽光発電
太陽光発電設備を設置するうえで最もネックとなるのが設置費用です。初期投資が大きい分、結果的に元が取れるのかと不安に感じる方も少なくないでしょう。
ただし、太陽光発電設備は、安く設置するポイントを押さえることで設置費用を大幅に節約できます。
東京都では、2025年4月より都内の新築戸建て住宅にソーラーパネルの設置を義務付ける基本方針が示されるなど、今後より一層太陽光発電の需要が高まり、普及が進むことが予想されています。
こちらの記事では、2023年最新版・太陽光発電の設置費用の情報を徹底解説します。太陽光発電設備の設置費用を詳しく知りたい方はもちろん、太陽光発電の導入に興味をお持ちの方もぜひ参考にしてください。
目次
【2023年最新版】太陽光発電の相場価格
2023年1月末に経済産業省調達価格等算定委員会で使用された「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」によると、2022年の住宅用太陽光発電の設置費用は1kWあたり26万1,000円と発表されました。
住宅用として導入される太陽光発電設備は4〜5kWであるケースがほとんどであることから、100万円以上の設置費用がかかる可能性が高いといえるでしょう。
年々設置費用の推移が減少傾向にあることから、2023年の住宅用太陽光発電のシステム相場は1kWあたり25万9,000円と予想されています。
住宅用の太陽光発電として認可される10kW未満の出力容量で設置した場合の費用目安は次のとおりです。
出力容量 | 設置費用目安 |
3kW | 77万7,000円 |
4kW | 103万6,000円 |
5kW | 129万5,000円 |
6kW | 155万4,000円 |
7kW | 181万3,000円 |
8kW | 207万2,000円 |
9kW | 233万1,000円 |
※1kWあたり設置費用が25万9,000円であると想定したうえで算出
実際にかかる費用は、設置するソーラーパネルのメーカーや設置面積によって大きく異なります。出力容量を大きくすればするほど売電収入も高額になりますが、その分初期投資が必要です。
太陽光発電の設置費用が大きく変動する要因
太陽光発電の設置費用は、次の3つの要因で大きく変動します。
- 太陽光発電の設置面積
- 太陽光発電の足場の設置の有無
- ソーラーパネルの設置工法
これら3つの要因がどのように価格変動に影響を与えているかを詳しく解説しましょう。
要因その1|太陽光発電の設置面積
ソーラーパネルの設置面積を広げれば広げるほど、必要となるパネルの枚数や架台、さらには接続箱の設置数が増えるため、設置費用は高額になります。
パネルの設置枚数が増えればその分売電収入が期待できますが、住宅向けに販売されている10kW未満の設備を設置した場合、最低でも200万円以上の初期投資が必要です。3kWと9kWの出力容量で比較した場合、初期費用がおよそ3倍にもなります。
パネルの設置面積を増やした方が1kWあたりの設置コストが多少安くなる傾向はあるものの、やみくもに設置することはおすすめできません。屋根の形や設置する方角によっては発電量が大幅に落ちてしまうケースも考えられます。
実際にかかる費用と発電量を比較したうえで、無駄が出ないような設置面積を割り出していきましょう。
要因その2|太陽光発電の足場の設置の有無
太陽光発電を設置する際に足場が必要な場合は、最低でも10万円の設置量がかかるため、足場が必要かどうかも設置費用を大きく左右する要因の一つです。
住宅用の太陽光発電は屋根の上に設置するケースがほとんどでしょう。屋根の上にパネルを設置する際は、足場の設置が必要です。庭などの平地に設置する場合は足場はいりません。
新築の場合は建築時に使用する足場をそのまま利用できるため、足場の設置代を浮かすことができ、結果として設置費用が割安になります。足場の設置費用は、建物の立地や構造によって大きく異なるのが特徴です。
例えば、3階建て以上の建物の場合、2階建てよりも強度の高い資材を使用するため、コストがかかる傾向にあります。隣家の隙間が狭いなどの理由から足場を組みにくい場合は、運搬や設置に手間と時間がかかるため、その分費用が割高になるでしょう。
要因その3|ソーラーパネルの設置工法
ソーラーパネルを設置する際は、おもに次の3つの工法があります。
設置工法 | 特徴 | 強度 |
アンカー工法 | 住宅の屋根に穴を開けて架台を固定する | ★ |
支持金具工法 | 専用の支持金具を使って架台と屋根を固定する | ★★ |
支持瓦工法 | 屋根の一部の瓦を架台固定用のものに変更する | ★★★ |
どの工法であっても安全性は保証されているものの、それぞれの工法で強度は異なります。強度が高ければ高いほど設置費用は高くなりますので、予算に合わせた工法で設置していきましょう。
ただし、住宅の屋根に直接穴を開ける「アンカー工法」は、実績のある業者に依頼しないと施工不良による雨漏りが発生するリスクが高まります。雨漏りをしてしまうと、修理や修繕のためにさらなる費用がかかってしまうでしょう。
このように、アンカー工法でパネルを設置する際は防水加工の技術が必要ですので、設置工事はしっかりと実績のある信頼できる業者に依頼するのがおすすめです。
新築よりもリフォームのほうが高額になる傾向あり
意外に知られていませんが、新築時よりもリフォームの際に太陽光発電を設置するほうが高額になる傾向があります。
2022年の新築時の設置費用が1kWあたり26万1,000円だったのに対し、既築に後付けする場合は1kWあたり28万円1,000円と1kWあたり約2万円高いことがわかります。
先ほども解説したとおり、新築時に太陽光発電を設置する場合は建築用の足場を活用できるため、設置費用を抑えられます。着工前であれば新築工事に併せて設計できるため、電気配線や屋根の工事も新築工事と同じタイミングで行なうことで、後付けよりも費用を安く抑えられるという訳です。
これから家を建てる方や新築物件を購入予定の方は、設計段階から太陽光発電の設置について検討しておくことをおすすめします。
家庭用と産業用太陽光発電でも相場が異なる
出力が10kW以上の産業用太陽光発電は、設備規模に関わらず家庭用よりも割安な設置費用で導入できるのも特徴です。
「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」で発表された2022年の産業用太陽光発電におけるシステム費用の平均値は、1kWあたり23万6,000円でした。住宅用のシステム費用が1kWあたり26万1,000円であったことを踏まえても割安であると理解できるでしょう。
ただし、産業用の太陽光発電を導入するためにはパネルを設置する広大な土地が必要です。土地を別途取得する場合は、設置費用に加えて土地の取得費用や造成工事費がかかります。
太陽光発電システムに必要な設備と価格の目安
太陽光発電システムは、ソーラーパネルだけでなくその他にもさまざまな設備を組み合わせて構成されています。設置費用の内訳には、必要な設備が含まれています。
ここからは、太陽光発電システムに必要な設備の役割をはじめ、価格の目安について詳しくご紹介しましょう。
ソーラーパネル
ソーラーパネルとは太陽光を電気に変換する機器のことで、別名「太陽電池モジュール」とも呼ばれています。小さな四角い板の太陽電池を複数集めてアルミ枠に入れてパネル化したものを、屋根の上や土地に敷き詰めて発電します。
ソーラーパネルの2022年のデータによると、1kWあたり13〜15万円で、年々価格は安価になっているのが特徴です。ある程度まとまった発電量を実現するためには、複数枚のパネルを設置する必要があります。
パネルを設置する屋根の形状や方角によって想定よりも設置枚数が多くなってしまうケースも考えられます。そのため、屋根の形状に合わせたパネルを探すことはもちろん、目的の発電量をクリアするパネルを選択することが大切です。
家庭用太陽光発電で多く導入されている3〜5kWの規模で設置する場合は、パネル代のみで40〜75万円程度かかると考えておきましょう。
メーカーによって、取り扱うパネルの形状が異なります。長方形や正方形以外の形状を豊富に取り扱うメーカーを選ぶことで、スペースを無駄にすることなくパネルを設置できるのでおすすめです。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーとは、複数のソーラーパネルで発電した直流の電気を、家庭で使える交流電気に変換する機器のことです。2022年のデータによると、1kWあたり4〜5万円が相場となっています。
メーカーによっては、3kWで10万円を切るリーズナブルなパワーコンディショナーを取り扱っていますが、費用だけでパワーコンディショナーを選ぶのはとても危険です。
どれだけ出力の高いソーラーパネルを導入しても、パワーコンディショナーの変換効率が悪いと実際に利用できる電気量は減ってしまいます。たった1%の違いと思っていても、長期的に見ると大きな差となるでしょう。
予算内で設置できるのであれば、自立運転機能が搭載されているタイプのパワーコンディショナーがおすすめです。
初期費用は高くなりますが、災害などで停電した場合でもパワーコンディショナーに付属している電源プラグを使用することで家電製品が使えるため、非常時にとても役立つでしょう。
AC100Vで1.5kWまでに対応しているタイプが一般的ですので、パワーコンディショナーを選ぶ際の参考にしてください。
架台
架台とは、ソーラーパネルを屋根や土地に固定するための台のことで、太陽を効率良く受けられるように、高さや角度を調整する役割を持っています。
1kWあたりの架台の設置使用目安は2万円前後で、使用する素材によって価格が大きく変動するのが特徴です。アルミニウム製よりも、強度のあるステンレス製のほうが高額になる傾向にあります。
積雪量の多いエリアでは、パネルに雪が積もって重みによる負荷を最小限に抑えるために、架台の調整が必要不可欠となってくるため、少しでも耐久性の高い架台を設置しましょう。
架台の設置工法によってもかかる費用が変動します。屋根の状態やパネルメーカーによっては架台が不要なケースもありますので、設置業者に確認してください。
接続箱
接続箱とは、複数のソーラーパネルの配線をまとめる設備のことで、パネルで発電した電気をまとめてパワーコンディショナーに送る役割があります。
1つの接続箱を設置するために3万円前後の費用がかかります。設置するソーラーパネルの枚数が多ければ多いほど、その分接続箱の設置個数も必要です。接続箱もパワーコンディショナーと同様、変換効率の高い機器を選ぶことで、電気をまとめる過程でのエネルギーロスを最小限に抑えることができます。
メーカーによっては、パワーコンディショナーの内部に接続箱が含まれている場合もあります。その場合は、別途接続箱の設置は必要ありません。パワーコンディショナーを選ぶ際に、一緒に検討してみましょう。
発電モニター
発電モニターとは、どれだけの電気が売電されているか、さらには自宅内での電力使用状況をリアルタイムで確認できるモニターのことです。設置は任意ですが、2万円前後で導入できます。メーカーによっては、各種データをパソコンからチェックすることも可能です。
家電の使用電力の把握や遠隔操作が可能なHEMS(Home Energy Management System)が代表例の一つです。機能性の高い機器の場合は10万円以上するものもありますので、予算に合わせて設置を検討しましょう。
太陽光発電の設置工事費
太陽光発電を設置するためには、次の工事費用が発生します。
- 太陽光発電の本体の設置と取り付け工事
- 配線などの電気工事
「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」によると、1kWあたりの設置工事費用は7万1,000円と発表されています。そのため、家庭用として設置する場合は、20〜35万円が目安と考えましょう。
ただし、太陽光発電の規模や設置する屋根の形状や建物の立地条件、さらには雨天トラブルなどによって設置費用が上乗せされるケースもあります。なかには、工事費用を安く見積り、工事後に追加費用を請求する悪徳業者も存在するため、信頼できる設置業者に依頼することが重要です。
蓄電池を設置する場合
太陽光発電システムの導入を検討している方のなかには蓄電池の設置をお考えの方もいるでしょう。
太陽光発電でつくられた電気は、蓄電池がないと蓄えておくことができません。太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、昼間に発電した電気を蓄えて夜に使用できるという訳です。蓄電池があることで、停電時や災害時などにも活用できるため、万が一の備えとして活躍するでしょう。
ただし、蓄電池によっては蓄えておける電気の容量が異なるのはもちろん、充放電を繰り返すことで電池性能が劣化するため、耐用年数にも大きく差が生じることをしっかりと理解しておかなければなりません。
蓄電池を検討される方は、設置費用だけでなく蓄電できる容量や耐用年数も併せて確認しましょう。
太陽光発電設置後のランニングコストはどれくらい?
太陽光発電は設置する際はもちろんのこと、設置後にもランニングコストがかかります。
設置後のランニングコストは、大きく分けて次の3つです。
- メンテナンス費用
- 保険料
- 解体撤去費用
ここからは、それぞれのランニングコストの内容をはじめ、費用の目安についてご紹介しましょう。
その1|メンテナンス費用
太陽光発電システムは、ソーラーパネルをはじめ、パワーコンディショナーや架台、接続代などさまざまな設備が組み合わさってつくられています。長期間にわたって安心・安全に運用するためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
FIT認定を受けた太陽光発電は、2017年の改正FIT法によって50kW未満の非FIT以外の太陽光発電所は、住宅用・産業用を問わずメンテナンスの義務化の対象となりました。
メンテナンスを怠っていると判断された場合は、認定が取り消されるケースもあります。さらに定期的な点検を怠ることで、発電効率や安全性の低下による事故発生のリスクの増加につながってしまうため、注意が必要です。
メンテナンスにかかる費用は発電施設の規模によって大きく異なりますが、住宅用太陽光発電で年間5〜10万円程度、出力50kW未満の産業用太陽光施設で年間10〜15万円が相場です。出力50kW以上の大規模な産業用施設の場合は年間100万円以上かかります。
ここからは、太陽光発電のメンテナンスの具体的な内容についてご紹介しましょう。
定期点検
住宅用太陽光発電では定期点検の法的義務はないものの、資源エネルギー庁では4年に一度の定期点検の実施を推奨しています。長期にわたって安心して使い続けるためには必要なメンテナンスと考えて実施していきましょう。
定期点検の実施内容は次のとおりです。
- ソーラーパネルなどの各機器の製品点検
- パワーコンディショナーの運転点検
- 電圧測定や絶縁抵抗測定などの数値測定など
- 必要に応じた部品の修理や交換
定期点検にかかる費用は1回あたり大体1〜2万円です。部品や設備の故障や不具合が確認できた場合は、別途費用がかかります。機器の不具合を早期発見することで、修理や修繕にかかる費用を最小限に抑えられるでしょう。
パワーコンディショナーの交換
太陽光発電設備のなかで最も故障や不具合が生じやすいのがパワーコンディショナーです。パワーコンディショナーは、ソーラーパネルで発電した電気が大量に流れているため、どうしても経年劣化しやすいという特徴があります。パワーコンディショナーの寿命は、大体10〜15年で、交換が必要な場合は設置費用を含めて20〜30万円程度かかります。
パワーコンディショナーでよく報告される不具合として、ホコリやゴミが換気フィルター内で目詰まりを起こすケースがあります。
さらに、パワーコンディショナーのヒューズが切れてしまうことで故障するケースも少なくありません。ヒューズが切れてしまうと発電量が大幅に減少し、最終的には発電不能となってしまいます。
パワーコンディショナーには高圧電流が流れているため、自力で修理するのは大変危険をともないます。ヒューズを交換する際は、必ず専門業者に依頼しましょう。
ソーラーパネルの清掃
太陽光発電設備を効率良く運用していくためには、ソーラーパネルの定期的な清掃が欠かせません。ソーラーパネルの表面につく汚れのなかでも代表的なものは次のとおりです。
- 土埃や砂埃
- 花粉
- 黄砂
- 鳥のフン
- 落ち葉
- 水アカ
- ゴミ
- 火山灰
- 雑草
上記の汚れがパネルの表面に付着してしまうと、発電効率を大幅に下げてしまう要因となります。住宅用のソーラーパネルは屋根の上に設置されているケースがほとんどですので、個人で対応すると屋根から落ちてしまう危険性があります。
パネルを洗浄する際は水アカの付着を防止するために水道水に中性や弱アルカリ性の洗剤を薄めて使用しなければなりません。大切なパネルを傷つけないためにも、正しい方法で専用ツールを使って対応してくれる専門業者に依頼するのが賢明といえるでしょう。
ソーラーパネルの清掃にかかる費用は、設置状況によって大きく変動します。
- パネルの枚数や設置規模、設置環境
- どの程度汚れを落とすのか
- 洗浄に使用する水や機材
基本料金に加えて、パネルの枚数分の洗浄料金がかかるのが一般的です。別途出張費用がかかる場合もあります。相場を知るためにも、複数の業者から相見積りを取って費用の妥当性を確認しましょう。
その2|保険料
自然災害などによって太陽光発電の設備が破損・故障した場合の修理や交換費用は、メーカー保証では対応していません。そのため、万が一の事態に備えて、動産総合保険や火災保険などに加入する必要があります。
保険料は、加入する保険のタイプや太陽光発電設備の規模によっても大きく変動するものの、一般的に初期費用の3%前後が相場です。
その3|解体撤去費用
太陽光発電設備は、設備の老朽化や住宅のリフォームなど、さまざまな理由で撤去しなければならないケースがあります。
ソーラーパネルには、有害物質である鉛やカドミウム、セレンなどが含まれているため、法令やガイドラインに沿ってリユースやリサイクル、または廃棄する必要があるため、必ず設置業者や解体業者などの専門家に相談することが鉄則です。
解体にかかる費用は、住宅用の場合で15万円程度かかります。
太陽光発電の設置費用は回収できる?
太陽光発電で発電された電力は、FIT制度と呼ばれる固定価格買取制度により、発電設備を設置後10年間は電力会社によって一定価格で買い取られます。
FIT制度がスタートした2012年度の買取価格が1kWhあたり42円だったのに対し、2022年度は1kWhあたり19円と大幅に下がってしまいました。そのため、従来よりも売電のみで元を取るのが厳しい状況となっています。ただし、設置費用や導入コストを抑えるよう工夫することで、十分に設置費用の元を取れるでしょう。
ここからは、太陽光発電の設置費用を回収するための期間や短縮するためのコツをご紹介します。
家庭用太陽光発電は設置から10年で回収可能
住宅用の太陽光発電の初期費用は、一般的に設置から10年で回収できるように調整されています。産業用の場合は10〜15年程度で回収可能です。
太陽光発電の設置費用は年々安くなっているので、FIT制度が始まった当初よりも少ない初期費用で導入できるようになりました。そのため、固定買取価格が下落傾向にあるものの、しっかりと初期費用を回収することは可能です。
蓄電池を併用することで効率的に稼働できる
初期費用をなるべく抑えて導入することはもちろん大切ですが、初期費用の回収期間を大幅に短縮させるためには蓄電池の併用が必要不可欠です。
太陽光発電設備単体で運用した場合、発電した電気を貯めることや好きなタイミングで放電することができません。つまり、発電した電気をその場で消費しなければ、発電した電力の損失量が増えてしまい、売電収入や電気料金の削減効果に悪影響を与えてしまうでしょう。
蓄電池を併用することで、電気を貯めることはもちろん、任意のタイミングで消費することが可能です。時間帯や発電量、自宅の消費電力量に合わせて蓄電や放電の制御を行なえます。
以前は、200万円以上を超えるとても高額な蓄電池が多く販売されていましたが、蓄電池の普及が進むにつれて90〜160万円程度の導入費用まで大幅に抑えられるようになりました。
蓄電池は容量や材料の違いによって大きく価格が異なります。なかでも、リチウムイオン電池は、小型、軽量タイプなのに高い電力を供給できること、寿命が比較的長いことから多くの蓄電池で採用されています。
蓄電池の導入を検討される場合は、設置費用を抑えるためにも太陽光発電と同時に設置するのがおすすめです。
太陽光発電の設置費用の推移が減少傾向にある要因
先述したとおり、太陽光発電の設置費用は年々減少傾向にあります。
年 | 新築(万円/kW) | 既築(万円/kW) |
2012年 | 43.1 | 47.9 |
2013年 | 39.1 | 43.2 |
2014年 | 36.7 | 40.5 |
2015年 | 35.8 | 39.8 |
2016年 | 34.5 | 37.1 |
2017年 | 34.4 | 37.1 |
2018年 | 31.3 | 35.2 |
2019年 | 29.2 | 32.7 |
2020年 | 28.3 | 31.1 |
2021年 | 27.1 | 28.3 |
2022年 | 26.1 | 28.1 |
引用元:調達価格等策定委員会|令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)
2012年の新築における設置費用は1kWあたり43万1,000円でしたが、2022年は26万1,000円と、なんと17万円も安くなっていることがわかります。
2023年も、引き続き半導体不足や材料費や輸送費の高騰があるため設置費用にどのように影響をおよぼすかは不透明ではあるものの、例年通りの価格帯で太陽光発電設備を設置できるでしょう。
ここからは、設置費用が安くなっているおもな要因について詳しくご紹介しましょう。
要因その1|大量生産による低価格化
太陽光発電設備が、日本国内だけでなく世界中で普及したことにより、設備の大量生産による低価格化が実現しました。
特にこの10年間で中国メーカーが全世界に向けて大量のソーラーパネルを製造するなど、コスト競争力が世界一となり、市場に流通しているほとんどのソーラーパネルが中国製のものとなっています。
今後も低価格化が進むことが期待されており、これまで初期コストがネックとなって設置を断念していたご家庭にもチャンスが到来しているといっても過言ではありません。
要因その2|製造工程や販売方法の工夫によるコストカット
2つ目の要因として、製造工程や販売方法の工夫による大幅なコストカットが挙げられます。
製造技術が格段に進歩したことはもちろん、ソーラーパネルの原材料であるシリコン価格の低下や半導体製造メーカーで蓄積された技術をソーラーパネルに活用したことなどが大幅なコストカットにつながりました。
近年では、設置業者もホームページを作成したり、見積りサイトを活用したりすることで、さまざまな販売促進活動を行なっています。インターネットを中心とした販売促進をすることによって、販売店においても大幅なコストカットを実現しているのです。
要因その3|技術進歩によって低コストでの設置が可能となった
太陽光発電設備の技術進歩によって、これまでよりも少ない作業工程で設置できるようになったことも、設置費用を抑えられた大きな要因の一つです。
製品の精度が上がっていることはもちろんですが、特に、工事における効率を上げて設置費用を下げる販売店や施工業者の企業努力も低コスト化に大きな影響を与えています。
太陽光発電の設置費用を抑える4つのポイント
太陽光発電の設置費用は年々安くなってきているものの、4kW以上の設備を導入する場合は100万円以上するケースがほとんどです。太陽光発電の導入にいくら興味があったとしても。初期費用が高額になるとなかなか気軽に設置することは難しいでしょう。
ここからは、太陽光発電の設置費用を抑えるポイントをご紹介しましょう。どれも実践しやすいものばかりですので、ぜひ参考にしてください。
ポイントその1|複数の業者から相見積りを取る
同じメーカーの太陽光発電設備を導入する場合でも、設置業者によって費用は大きく異なります。そのため、設置費用を節約するならば、設置業者を厳選することが重要です。
設置費用だけでなく、設置後のアフターフォローの有無など業者によって提供するサービス内容にも違いがあるため、慎重に検討しましょう。
信頼できる業者に依頼するためにも、複数の業者から相見積りを取り、しっかりと比較検討することが大切です。
ポイントその2|価格の安いソーラーパネルから比較検討する
太陽光発電の設置費用を抑えたい場合は、費用の大部分を占めるソーラーパネルにかけるコストを削減していきましょう。単価の安いソーラーパネルで目的とする発電量を達成できないかを比較検討してください。
施工業者におすすめされるままに高機能なものを選んでしまうと、同じような発電量であっても1枚のパネルで10万円以上の差が生じるケースも少なくありません。
ただし、安さを重視してソーラーパネルを選んでしまうと耐久性がなかったり、発電効率が悪かったり、さらには太陽電池の品質に問題が生じたりする危険性もあるため気をつける必要があります。
ソーラーパネルをはじめとする太陽光発電の設備を選ぶ際に大切なポイントは、長期的に見て安いかどうかです。初期費用がいくら安くなっても、修理や交換で余計な出費がかさんでしまっては意味がありません。
たとえ、ソーラーパネル1枚あたりの単価が高かったとしても、発電効率が高ければ設置枚数や架台の数を減らすことができ、結果としてコスト減に貢献できるでしょう。
ポイントその3|補助金制度を活用する
太陽光発電の設置費用を抑えるためには、補助金制度について調べてみるのもおすすめです。
国では、個人や法人向けに自家消費型太陽光発電や戸建住宅ZEH化などの支援事業をはじめ、蓄電池に関する補助金制度を実施しています。国の補助金制度については経済産業省の資源エネルギー庁のホームページに詳しくまとめられていますのでぜひチェックしてみましょう。
国の補助金制度だけでなく、自治体によっては独自の補助金制度を立ち上げているケースもあります。東京都の東京ゼロエミ住宅促進事業では、都内の新築住宅に太陽光発電設備を設置する際に、1kWあたり10〜13万円の補助金が受け取れます。
2023年度になるタイミングで新たな補助金制度が新設されたり、適用条件が変わったりするケースもありますし、予算の都合で早期終了するケースも考えられます。補助金制度を利用する場合は、最新情報をチェックしてなるべく早く申請しましょう。
ポイントその4|ソーラーローンを活用する
太陽光発電の設置費用のためにローンを組む場合は、最終的な支払いが安くなる方法を探していきましょう。ローンを組む際は、カードローンやフリーローンに比べて安い金利で利用できるソーラーローンがおすすめです。
ローンを組む際は、金利の安さはもちろん、返済期間や担保の有無を確認し、利用しやすいものを選ぶようにしましょう。
太陽光発電の設置費用を無料にする方法
太陽光発電を導入する際は、どうしてもまとまった初期費用が必要です。補助金制度を活用するのも一つの方法ですが、やり方次第では無料で設置できるケースもあります。
ここからは、無料で太陽光発電を設置するお得な方法をご紹介しましょう。
その1|屋根貸し
屋根貸しとは、自宅の屋根を太陽光発電の設置場所として事業者に貸し出す方法です。屋根を貸し出すだけのため、太陽光発電設備の所有者はもちろん事業者となりますが、設置料として賃料を受け取れます。
賃料は、1平方メートルあたり100円程度とさほど大きな収入にはなりませんが、直射日光から屋根を遮ってくれるため、エアコンの効きが良くなったり、災害時の非常用の電源確保として利用できたりと、さまざまなメリットがあります。
初期費用なしで太陽光発電の恩恵を受けられるため、興味のある方はぜひ検討してみましょう。
その2|PPAモデル
PPAモデルとは「Power Purchase Agreement」の略称で、電気販売契約を意味します。PPAモデルでは、事業者の負担で太陽光発電を設置し、発電した電力を住宅の所有者が購入する仕組みです。
事業者は、設置費用以外にもメンテナンスにかかる費用も負担します。さらには、契約期間後の太陽光発電設備の譲渡もあるため、お得に導入できる方法として注目を集めているのです。
ただし、契約期間が10年以上と長く設定されているケースがほとんどです。設置条件が厳しいために契約できないケースもあるため注意が必要です。メーカーの選択肢が少なかったり、蓄電池の設置ができなかったりなどのデメリットも理解したうえで契約することをおすすめします。
その3|リース契約
リース契約とは、事業者が設置費用を負担して太陽光発電を設置する代わりに、住宅の所有者は毎月リース代を支払う仕組みを指します。
発電した電気は、自家消費するのはもちろん、余剰分は売電することも可能です。リース代を上回ることで利益を出せます。
リース契約の場合も、メンテナンス費用や修理費用の負担をする必要がなく、契約期間終了後は住宅所有者のものとなることも大きなメリットといえるでしょう。
ただし、毎月のリース代の費用を回収できるとは限らないということです。その月の天候状況や電力の売電価格によって大きく影響するため、経済的なメリットが得られないケースもあると理解しておきましょう。
太陽光発電を設置する際の注意点
ここからは、太陽光発電を設置する際に注意すべきポイントをご紹介します。あらかじめ注意点を念頭に置いておくことで、思わぬトラブルを回避できるはずです。
注意点その1|売電で大きな金額を稼ぐのは難しい
太陽光発電の売電価格は年々下がってきており、売電で稼ぐビジネススタイルが難しくなってきています。今後も売電価格が下がっていくと予想されており、売電開始当初よりも厳しい状況になるでしょう。
2022年以降、燃料価格の高騰や国内の電力供給力不足によって、電気代の急激な値上げが取り立たされています。さらに、再生可能エネルギーを増やすことを目的として、2030年を目処に再エネ割賦金が値上がりし続ける見通しとなっているため、今後も電気料金の値上げは避けることはできないでしょう。
これから太陽光発電を設置するご家庭は、売電収入を目的とするのではなく、自家消費で節約する目的で導入したほうが、太陽光発電の恩恵を受ける可能性が高いといえます。
注意点その2|発電量は天候の影響を受けやすい
太陽光発電の性質上、天候に大きく左右されてしまいます。晴れ間が続く時期は多くの発電量が期待できますが、くもりや雨が続いてしまうとどうしても発電量は大幅に減ってしまうでしょう。
さらに、太陽光発電の発電量は、天候だけでなく季節にも大きく影響されるのが特徴です。
季節 | 特徴 |
春 | 温度が高くなるにつれて日照時間も長くなり、徐々に発電量が上がる |
梅雨 | 1ヵ月半近い間、くもりや雨の日が続くため発電量が下がる |
夏 | 日照量が上がり、発電量が最も期待できる |
夏〜秋 | 秋に近づくにつれて、だんだん日照量が下がってくるため、やや発電量が下がる |
冬 | 日照時間が短くなる10〜2月にかけて最も発電量が落ち込む |
このように、日照時間と日照量によって、発電量に大きく差が生じます。太陽光発電を設置する際は、天候の影響などを受けても蓄電池などで対応可能かをしっかりとシミュレーションすることが重要です。
注意点その3|カラスや鳩などの鳥害対策を行なう必要がある
ソーラーパネルを設置後によくあるトラブルとして、カラスや鳩、ムクドリなどによる糞害やカラスのいたずらによるパネルの破損などが挙げられます。
パネルの清掃や修繕作業は自力で行なうことが難しいため、業者に依頼しなければなりません。余計な出費がかさんでしまわないように、設置時に鳥害対策をしっかりと講じることが大切です。鳥害被害に遭わないためにできる具体的な対策方法は次のとおりです。
- ソーラーパネルに専用の防鳥ネットを設置する
- 忌避剤を設置する
- 電気ショックを設置する
もちろん初期費用はかかってしまいますが、設置後の被害を考えると必要な対策といえます。将来起こりえる鳥害リスクに対しても配慮してくれる業者であるかをチェックして、業者の信頼性を確認していきましょう。
まとめ
太陽光発電の設置費用は年々下落傾向にありますので、昔に比べて導入しやすい時代となっています。
特に、設置費用の大部分を占めるソーラーパネルの価格も1kWあたり20万円以下のものも販売されており、初期費用を抑えたい方にも安心して導入できる状況といえるでしょう。
初期費用を抑えたい方は無料で設置できる方法もあります。それぞれの設置方法にはメリット・デメリットがありますので、初期費用だけでなく最終的にかかるコストも考えながら導入方法を考えていきましょう。
サンエーは、産業用太陽光発電はもちろんのこと、家庭用太陽光発電の設置実績も誇ります。導入の設計・施工から、導入後のアフターフォローまでワンストップでトータルサポートいたしますので、安心してお任せください。
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